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2008年の1月末に公開されて以来、一部で話題になっているアプリケーションにJoikuSpot Lightというものがある。
無線LANを搭載しているS60 3rd端末のアクセスポイントを無線LAN経由で別の端末と共有することを可能にするアプリケーションだ。最初に知ったときはBluetoothで繋げばいいのに何で?と思ったが、HSDPA等の高速接続を利用する場合はBluetoothではパフォーマンスが出ないのでより高速な無線LANを利用しようというのが開発意図だったようだ。
PCからの接続がターゲットだとは思われるが、分かりやすいデモのひとつとしてiPod Touchで接続するデモが公開されている。
日本でこのアプリケーションが話題になる理由は、日本のオペレータの定額接続のアクセスポイントがモデムとして利用できるのでは?ということからだ。
SoftBankから4月下旬に発売予定となっているX02NKに用意されているアクセスポイントは従来のものとは異なり後からインストールしたアプリケーションも定額で利用可能なアクセスポイントが用意されているという話がある。JoikuSpot自体は後からインストールするアプリケーションなので当然そのアクセスポイントが利用可能だと思われる。するとその定額アクセスポイントが...、となるわけだ。SoftBankはPC等からモデムとして接続した場合の定額利用を許可していないのでSoftBankからしてみれば契約範囲外の利用方法となる。
このあたりの事情を知っている人ならば、WM端末にはZeroProxyという同じようなアプリケーションがあって、それがSoftBankでも利用可能だったということをご存知だろう。確かにこのアプリケーションは利用可能だったのだが、SoftBankから発売されている最新のWM端末であるX01Tではアクセスポイントを無線LAN経由で共有する仕組みがシステムレベルでブロックされているという報告をネットで見かける。しかも、ふさがれているのは無線LANだけで、BluetoothやUSB接続の場合は定額アクセスポイントが他の端末から利用できるらしい。これは、無線LANの使用を前提としているZeroProxyを無効にするための措置が取られたことを意味しているのだろう。つまり、SoftBankは、発売時点で判明している定額アクセスポイントを端末以外から利用することを可能な限り防ぎたいと思っているということになる。
さて、WMでなされた制限がX02NKで行われないとは考えられない。つまり何らかの手段によってJoikuSpotに制限がかけられることが予想される。では、どのような制限が行われるだろうか。
1. 無線LAN接続に関する制限をかける
無線LANの機能に制限をかけると他のアプリケーションに影響が出ることが考えられる。無線LANはX02NK(N95)の売りのひとつなので、それを制限してしまっては元も子もない。
JoikuSpotはSymbian signedを取得しているので、APIの使い方等は真っ当な手法を使っていると考えられる。つまり、他のアプリケーションに影響を与えずに、JoikuSpotのみに無線LANの制限をかけるような仕組みはちょっと考えられない。
2. アクセスポイントへのアクセス権に制限をかける
この方法も現実的ではない。アクセスポイントを利用するCapabilityを持ってSymbian signedを取得したアプリケーションは、705NK(N73)でも問題無くアクセスできていた。JoikuSpotはSymbian signedを取得しており、API等の使い方に問題が無いということが保障されているということなのでJoikuSpotのみアクセス権を制限することは難しい。もし実施してしまったら他のアプリケーションも軒並みアクセスポイントを利用できなくなってしまうだろう。
3. インストールそのものを制限する
再三述べてきたようにJoikuSpotはSymbian signedを取得しているのでインストールを制限することは本来おかしい。
しかしながら、X02NKはSoftBankが販売する端末であってNokiaが販売する端末ではない。特定のアプリケーションのみを制限することが可能ならばSoftBankはそれを実施するだろう。JoikuSpotをSoftBankが排除することはありうる話である。
Symbian OS上で動作するアプリケーションには同一性をSystemが判断するための固有のIDとしてUIDというものが与えられている。
#同じUIDが使われているため、バージョンアップの際に上書きインストールするかどうかが聞かれるわけだ。
JoikuSpotのUIDを決め討ちでブロックすればインストールを防ぐことができる。現時点ではJoikuSpotと同様のアプリケーションは一般ユーザ向けにリリースされていないようなので、このUIDさえブロックできていればSoftBank的にはとりあえず安心ということになるだろう。
そもそも根本的な対処になっていない気もするが、WMでの動きを見ていると、発売時点で分かっている穴さえ塞いでいれば発売は可能、という方針なのだろう。
#X01T発売時点で知られていなかったICSでBluetoothとUSBが利用可能だったことからも想像できる。
#逆に言えば次のWM端末ではICSでもBluetoothとUSBでの利用すらできなくなるだろう。
ということで、X02NKはJoikuSpotで定額モデムの夢を見ることはできなさそうだ。
JoikuSpotの発表が5月とかだったならば、いい夢を見ることができただろうが残念だ。
豆知識:
Joikuはラップランドの先住民族に伝わる歌のことで、フィンランド語でヨイクと読む。
ジョイクでは無いので注意。
日本語が堪能なフィンランド人の知り合いに「Joikuって何だ?」と聞いたら、しばらく考え込んで「日本の演歌みたいなもの」と答えてくれた。
後で自分で調べた限りではどちらかというと、民謡の方が近いと思う。
何でそんなことを知りたいのかと聞かれたので、とあるソフトウェアの名前に使われていると言ったら、ツボにはまったらしくしばらく笑い転げていた。フィンランド人にしか分からない微妙なニュアンスがあるのかもしれない。
追記:
何日かかけてこの記事を書いていたら海外から、面白いニュースが入ってきた。
WalkingHotSpotというサービスをTapRootという会社がオペレータ向けに提供するというものだ。
ソリューションとして管理用のサーバと端末用のアプリケーションをオペレータに提供するという。端末はWMおよびS60向けのものがあるようだ。WalkingHotSpotのトップページではE61がNokiaロゴを消された形でイメージ画像として利用されている。
#ちなみにイメージ画像の端末だけど、USの会社なんでE62かと思ったら端末の色からみてE61らしい。
TapRootという会社は東京にも支社があるようなので、SoftBankからソリューションが提供されると面白いのだけど、現実性が高いのはEMかな?